地雷探知6足歩行ロボツトによる地雷探知の研究
野波健蔵、黄 慶九、小溝大介、深尾洋一郎、内田洋彰
千葉大学工学部電子機械工学科
nonamj@meneth.tm.chjba・u.ac.i
TEL7FAX 043・290・3195
下井信浩
東京工業高等専門学校
shimoi@tokyo・ct.acjp
TEL 0426・68・5164
Humanitarian mine detection six・1egged walkillg robot and
Hybrid Neuro ]V【otion Control with Position∫Force Contro1
K.Nonami,Q.J.Huang,D.Komho,Y[Fukao,H.Uchida
Chiba Univeristy
nonami@meneth.tm.chiba°u.ac・jp
N.Shimoi
shimoi@tokyo・ct.ac.jp
Now asmany as 90 mi皿ion anti-personnelminesareleftburiedandcontlnuetokj』:1 or injure many people aU
over the world.As one of the world°s top-1evel nations in robotics, Japan should promote surveys and
research to detect and dispose of these anti°personnel mJnes fi)r the ultimate good or the envlronment by
using its advanced roktics technologles. Our project has developed and studied highinstrumentation
technologles fbrnunedetection,then mine detection and disposd technologies us゛g measuring equipment
mountedon lvalking robots based on six°legged teleoperated high technology. In this reseal℃h,a neuro-based
hybrld positio・fi)rce motion control fi)rwalking on irregular temaln was studied, Moreover,bnsed on thls
hybrid positio・fi)rce neuro contro1,the m:ine detecting and avoi(hng autonomous walking or six-1egged
wnlking robot was reahzed.
L緒言
現在,約1億個近くの対人地雷が発展途上国を中
心として約60カ国に埋設されたままになっており,
戦争が終結した後も年間で約2万5チ人の尊い人々
が犠牲となっている.このため,対人地雷を撤去す
る作業が精力的に行われているが,高い除去率を達
成するために人力による探知・除去に依存せざるを
得ないのが現状であり,このような方法では地雷撤
去に数百年を要するとも言われている.また,この
対人埋設地雷が経済復興の障害となっており,地域
社会に深刻な影響を与えている.
この人道上緊急な問題に対して,我が国はオタワ
条約において対人地雷の全廃に向けて貢献すること
を宣言し,被埋設国の政府等が行う対人地雷除去活
動に対して積極的に支援することを公約している.
この人道的な対人地雷除去活動に対する支援は,被
埋設国の復興に寄与し国際社会の平和と安定に貢献
するため,我が国は財政援助にとどまらず,科学技
術の積極的提供をはかるべきであると考える.特に,
我が国の先端技術を駆使とどまらず,科学技術の積
極的提供をはかるべきであると考える.特に,我が
の先端技術を駆使して探知・除去機材を積極的に開
発し,ODAによって供与することにより,地雷除去
Fig.1 Outdoor walking of mine det£ction
six・legged robot COMET-l
活動に一層貢献すべきである.このために,政府,
学界,民間が協力して関連技術・資機材の開発を促
進していく必要がある.
本研究はとくに困難を極めかつ危険性を省みない
人手による地雷探知法の飛躍的改善を図る目的で,
新規に開発した超小型地雷探知センサを搭載した6
足歩行型地雷探知ロボットを,内外で始めて開発し
た.その詳細は後述するが,開発したロボット技術
をプラットフォームにして様々な視点から技術的改
善を行うことによって,現状技術の少なくとも数十
倍の速度と無人化による安全でかつ信頼度の高い地
雷探知を可能とし,十分に地雷の被埋設国で活躍で
きるものと思われる.
ところで,多足歩行ロボットの場合,各脚関節を
安定に協調的に制御することは重要であり,各脚関
節の協調を総括する階層型制御が必要と思われる.
しかしながら,多足歩行ロボットモデルは大規模モ
デルで強い非線形システムであるので,モデルとし
ての数学モデルを獲得することが困難である.この
ため,モデルベースのシステムの制御系を設計する
ことは一般に難しい.一方,動物の場合は試行錯誤
による学習により徐々に歩く能力を獲得し,最終的
に歩行を実現している.このように動物は学習によ
って後天的に目的とする行動を実現する機能を獲得
している.このような学習をしていく数学モデルと
して人間の脳をモデル化したニューラルネットワー
クがよく知られている.本研究では6足歩行ロボッ
トが自己学習により非線形制御としてのニューロ補
償器を獲得するアルゴリズムを適用している.
。,。,∃ぇ=ロ=・
Fig.2 The image of walking on irregulaJr ゛rrain
with hybrid positio・fi)rce contro1
とくに,本研究ではFig.2に示すように歩行ロボ
ットが不整地で安定に歩行できるように位置制御の
みではなく,ニューロ制御に基づくハイブリツド型
位置と力の制御を行った.さらに,この位置と力の
ハイブリッド型ニューロ制御に基づいて,足先に装
着した金属探知機と腹部に装着した地中レーダを用
いて,不整地での模擬地雷原で地雷を探知および回
避する研究を試み,成功したので報告する.
2.地雷探知ロボツトの概要
地雷探知ロボット全体の概観はFig.3のようであ
る.また,本ロボットの名称をCOMET-1({::hiba
Universi炒 Ωperating Mine netection
Electronics TooトI)と名づけた.
93
Fig.3 Body size ofCOMET-I
51∂s£J〃
:↓
7W・la
ゝ
Fig.4 The structure ofleg
不整地での歩行の安全性をより確実にするために
6足とし,地雷の埋設ポイントを避けるために多少
無理な姿勢をしても安全を保つようになっている.
Fig.4に示すように1脚3自由度を持ち,脚の機構に
は平行リンクを採用している.また,Fig.3に示すよ
うにその総質量は約120kg,幅約1200mm,胴の長さ
約800mm,胴の高さ約1000mmである.ただし,
ボディの上に電子機器が搭載される.積載可能重量
は約20kgである.さらに,ロボットに搭載している
機器類をTable.1に示す.
全地球測位システムGPSは地雷埋設地点の確定
を1cmの精度で行うためには欠かせないシステムで
ある.地中レーダは対戦車地雷と不発弾等を地中深
度lmまでの高い精度で探知する計測装置である.
地中探査レーダはロボットの腹部に装備して,地表
との距離を一定に保って歩行することで自動的にロ
ボットの真下地下部の埋段物を探知可能である.
途中省略
(a)Control sys秘m
M;ddle(Jy・「
(b)NN Structure
Fig.2 Control sys゛m with positio・゛rce hybrid
neuro controller
Fig.6(a)は,ロボットの1脚3関節に対して,一つ
の集中型ニューラルネットワークを用いた位置・力
のハイブリッド制御系のブロック線図を示している.
この制御系は,まず各関節に対して,PDフィードバ
ックを理いた位置制御と,フィードフオワードとPD
フィードバックを用いた力制御の組み合わせによる
ハイブリッド制御系から構成されている.さらに,
ニューラルネットワーク学習に基づいて,正確な脚
モデルがなくても希望の制御性能を実現するために,
1脚3関節に対し一つの逆伝達関数型集中ニューロ
補償器を用いた位置と力のハイプリッド制御系を設
計した。この逆伝達関数型集中ニューロ補償器の構
成をFig.6(b)に示す.これらにより,ロボットの6
J
1一
j
4
(
(
J
J
び
Table1 Equipment of mine detection robot
COMET-I
CPUボード
|
2台
|
OS:RT-Linux
|
DAコンパータ
|
32CH
|
12ビット
|
ADコンバータ
|
64CH
|
12ビット
|
ハードディスク
|
2台
|
20GB
|
ディスプレー
|
1台
|
予備・緊急時
|
キーボード
|
1台
|
予備・緊急時
|
無線檀
(アンテナ付き)
|
2台
|
画像とデータ送受信
|
CCDカメラ
赤外線カメラ
|
1台
|
雲台サーポ制御付
|
超音波センサ
|
2台
|
測定範囲6m
|
近接センサ
|
6個
|
光学式
|
金属探知磯
|
6個
|
渦電流式
|
モータ角度検出用
ポテンショメータ
|
18個
|
サーボ制御用
|
(b)The top of゛ot with metal sensor, optical
proximity sensor and ゛rce sensor
Fig.5 New compact metal det£ctor,optical
proximity sensor and ゛rce sensor
次に,ロボット脚先部はFig.5(a)(b)に示すような
今回新たに開発した超小型金属探知機を装着してい
る.この金属探知機を装着して,脚が地面に着地す
る直前に脚を地上約3cmのところで止め,着地する
付近に金属反応がないかどうかを確認して,もし,
a4
金属反応がある場合はその地点を回避し,反応のな
いところに着地するというものである.この動作に
より,ロボツトが地雷を踏まないようにすることと
同時に地下数cmにある対人地雷も探知しようとす
るものである。
3.位置と力のハイプリツド型ニューロ制御
系の設計
3.1 制御系の設計
金属の埋設場所を踏まないように,脚が地面に接触
する前に金属を探知するセンサである.ここで,金
属探知器を用いた地雷探知動作と回避動作を行うプ
ログラムの流れはFig.14に示されて,生成した地雷
探知と回避する軌道の例をFig.15に示す.地中レー
ダの応答をFig.16に示す.Fig.16から地表にある
摸擬地雷の様子が鮮明に分る.
Fig.14 The control now ・the mine scanning 3nd
avoidjllg
0.4 c,J 0.6 0.フ 0、e 0.p
x・rtlirln[mI
99
7.模擬地雷原の不整地歩行
ここでは,まず,屋内で,位置制御と姿勢制御を併
用した位置と力のハイブリッドニューロ制御を用い
て,不整地である摸擬地雷原で,地中レーダと金属
探知機を用いた地雷探知動作と回避動作を行った.
この摸擬地雷原の実験内容をFig.17に示す.図は高
感度の地中レーダも金属を探知していると同時に,
ロボットの1つの側の脚が不整地(段差の最大高さ
が10cm)で歩行しながら,他の1つの側の脚が金属
を探知して回避動作をするというものである.
次に,屋外実験の様子をFig.18に示す.そのとき,
模擬地雷を地下数cmに埋設して地雷探知と回避実
験を行った.模擬地雷は直径6cm厚み3cmのプ
ラスチックの中に4g程度の鉄を埋めたものを模擬
地雷として使用した.摸擬地雷を発見すると約20
秒間,脚の動きを停止してこの間に塗料を地面に吹
き付けると同時に,GPSによる絶対位置計測を正確
に行い,搭載しているコンピュータとホストコンピ
ュータの両方の地図に埋設位置を記録して地雷マッ
プを作成していく.
Fig.17 The m(x:k mine seann゛g
walk゛g on irregular terrain
position/゛rce neuro contro1
and avoidjllg
with hybrid
Fig.18 The mock mine scanning and avoi(hng
walking on field
8.結言
○{
Fig,15 Autonomous created tr均ectory of mine
scanningandavoidingusingcompactmetaldetector
1.コJ4コG7B{}−{・一↓ーコq∈一£7一{−[″[
OOQIOQqlQ.・・ツー‥−・−ン・r・フ’{・フm・i
Modnljne
rn11
0.□
○
ζ15
Fig.16 Responses of sc3nning mock mine using the
radar sensor
92
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